・タイトル
スピリットには、精神、霊魂、幽霊、亡霊…という意味があります。名は体をあらわすって感じですね。冒頭の描写でレンっていじめを受けてるの?って思われるかもしれませんが、無視されているのは死んでいるからという。
また、前々作がモノクローム、前作がヒューマノイドで、ふと私のペンネーム(みほし)のMとHでは?と思い、絶対Sから始まるやつにしよう!という事でスピリットに決めました。モノクロームを書いていた時は次作の事は全く頭になかったので、ヒューマノイドと加えて頭文字が余りにも偶然の産物で驚きました。これ以上ないくらいぴったりなタイトルで気に入っています。と同時に、三部作の区切りとして相応しいなと思っています。
・キャッチコピー
独りからの卒業を――――。について。レンが学生なので、それにちなんで卒業という言葉を使いました。作中ではレンはまだ中学校を卒業していませんが、きっとイオニアと楽しいマブダチスクールライフを満喫して、のびのびと卒業する事でしょう。
・ハイドレンジア
名前のハイドレンジアは紫陽花の事です。ギリシャ語では水の器という意味があるそうです。水を好む植物だから、というのが由来なのだとか。イオニア(水の女神)を受け止める器というニュアンスを込めてこの名前にしました。あと昔園芸店でバイトしていた事があるのですが、その時に紫陽花の英名がハイドレンジアと知り、響きかっこよ過ぎる…と思って以来ハイドレンジアが好きになったのも名前に使いたくなった理由の1つです。
花言葉は結構多いのですが、その中でも「移り気」「無情」「冷酷」「寛容」が合うなあと思っています。レンに合うというよりは、イオニアに合いますよね。「家族団欒」という花言葉もあるのですが、レンの家庭環境はご覧の通りですので何とも言えないです。
複雑さを出す為に、レンの過去には不幸な中に少し温かな要素を入れています。周囲からは散々な扱いを受けていたけど、家族からは愛されていたりとか。完璧な不幸ではない辺り、もやもやっとした感情が沸くというか…何とも言えない気分になるんじゃないかと。リアリティを出す為に、自分の実体験も時折交えつつ考えました。だからこそ、私の中では一番親近感のあるキャラクターです。
ちなみに、身長は黄泉だったり。
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・イオニア
この展開はきっと、前作前々作を読んで下さった方なら想定外だったのではないかなと信じています。イオニアがどれだけ悪逆非道下衆女神か知っていたら、まず除外する筈です。うわぁハイドレンジアちゃんどんな酷い目に遭うんだろ〜ってなってくれた筈です。だってモノクロームでもヒューマノイドでもイオニアは散々不幸を撒き散らしましたからね。そうでないと読者の予想を裏切るという思惑から逸れるので私の負けです(何と戦っているんだ)。何というか、そんなだったからこそ予想を裏切りやすいと言いますか…同じ展開は二番煎じまでと思っています。じゃないとまたかよーってなって面白みが薄れる気がしていて。故に、この三部作はここが潮時だと思っています。
幕間の時点で揺らいでいる片鱗は見えていましたが、終盤にあのイオニアがまさかの泣いたという事実に私は大変満足しております。そして、マブダチは出来たけど今までの所業を悔いたり反省したりはしてないのはまあ間違いないので、根本が悪であるのが揺るぎない辺りブレない女神ですよね。特別扱いはレンにだけ。そこが好きです。
というかレンの人生が悲惨過ぎるのでイオニアに幸せにしてくれないと困るというのが本音でした。そして最後には理想そのものになった筈の人生を捨ててイオニアを選んだレン。友情を超えてもはや愛ですね。二人で幸せに生きろ。
全作を通して、この作品、私の作品だからこその味というものを出したいと思っていました。その為の役割を大きく担ってくれたのはイオニアであり、彼女がMVPだと思っています。理由は読んでくれた方なら分かってくれるんじゃないかなと思うので、あえて語りません。面白い物語を有難う、イオニア。
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・その他
話のボリュームはいつも通り、長過ぎないようにしました。本編6話+プロローグ&幕間6話の全12話です。
セリフが少なくてシリアスでハッピーエンドだったモノクローム、セリフが多くて基本ギャグでバッドエンドだったヒューマノイド。と書いてきて、今回は全てにおいて半々を目指した上でハッピーエンドにしました。二人で馬鹿やってるかと思えば唐突に挟まれるレンの重い回想が、ギャグとシリアスを中和してたらいいなーと。それにしても、やっぱりハッピーエンドはいいですね。ヒューマノイドには会わせる顔がないです。ごめんなさい。でもあの終わりこそ美しいと思ってます。
章タイトルと言うんでしょうか。それを三作品で全て違うものにしようとこだわりました。個性出るかなと思って。
モノクロームはPrologue(序章)/Chapter(章)/Epilogue(終章)
ヒューマノイドは序/World(世界)/結
スピリットはIntroduction(前奏)/Memory(思い出)/Interlude(間奏)/Ending(音楽の最後の部分)